●ハンドリング&リフレッシュ
 
 フェラーリを駆る……ではちと叙情的に過ぎる表現なので、操る……とはとても言えないドラテクな ので、動かす……(よし、やっと座りのいい言葉が浮かんだ 爆)、なんと甘美な響きであろう。ひとたびアクセラレーターを深々と踏み込めば、日常は後方に 走り去り、陶酔のひとときが訪れる。このままアクセルペダルから足を離せなくなるのではないかと思えるほど、気分の高揚するフェラーリ・ミュージック。悦 楽の境地へいざなう、麻薬のような刺激。だれしもが抗いがたい、特別な時間が流れるであろう……ステアリングがまっすぐなうちは……。
 
 ステアリングを切ってからのフェラーリは、ちょっと悲しい。少なくとも前の長期レポート車であっ た911(930type)に比べると、ステアリングはインフォメーションにも乏しいし、初期応答性も悪い。特に初期応答性なんか、中立付近からステアリ ングを4分の1ぐらい回しても、まだなんの反応もない。
 
 これにはいくつか理由が考えられる。
 
1.)フレームが、マラネロの工場をラインオフしたときからすでに曲がっている
2.)フレームが過去の事故で曲がっている
3.)タイアが寿命
4.)ダンパーが寿命
5.)サスペンション系のゴムブッシュ類が寿命
6.)ステアリングギアボックスが寿命
 
 このうち、1.)については、'97年5月号の『くるまにあ』の、「PORSHE 911 CARRERA 3.2 VS FERRARI 328 GTS 宿命の対決」の中で、沢村慎太朗氏も書いているし、ほかでも読んだ記憶がある。事実そうなのだろう。
 
 2.)については、『湾岸ミッドナイト』第2巻の132ページで、北見淳がひどい事故をしたテス タロッサを見ながら、「それでもフレームの歪みはミリ単位で収まっている」と述べている。それはつまり、「ガ〜ン」とか「グチャ」とか「ピヨ〜〜〜ン」と かいった、中のドライバーに残念な結果をもたらすようなひどい事故を起こしても、テスタロッサなど、ラダーフレーム時代のフェラーリの骨格を形成してい る、クロームモリブデン鋼というやぐらは、それはそれは固いということを示しているのではないか。よって2.)は考えにくい。
 
 3.)、4.)、5.)、6.)については、原因として十分に考えられる。
 
 そこで、'01年4月に、ささやかなリフレッシュを行った。
 
 まず、3.)のタイアは、サイドウォールの記述が「N0/N1」のグッドイヤーということで、多 分ライン装着されたものが、ずっとつきっぱなしだったようだ(あるいは社外品のホイールと交換し、ノーマルホイールは10年以上、ガレージの脇で惰眠を 貪っていたのかもしれないが……)。さっそく交換。メイクはやっぱり、F1のテクニカル・サプライヤーを意識してブリヂストンの、サイズがあるうちの一番 安い奴にした(フレームを労ろうという趣旨だが、コストも無視できない)。
 
 続いて、4.)のダンパー。テスト車は328の中では中期型と呼ばれるものなので、ダンパーには コニが使われている。実はこの中期型は、サスペンション構造的には後期型と互換性があるので、やろうと思えば後期型のビルシュタインとも交換可である。ビ ルシュタインはダンパーのオーバーホールが利くと聞いたことがあったので、長期的にはコストが安くなるかな? というのと、やっぱりF1のテクニカル・サ プライヤー……(え、しつこい、もういいって? 笑)と思ったが、「また、ブランドに弱いんだからぁ〜。ビルシュタインという音の響きに惹かれたんでしょ 〜」と、ショップ側に咎められるのがいやだったので、コニのままとした(コニがブランド的に格下であるとも思わないが)。
 
 5.)のゴムブッシュ類と、6.)のステアリングギアボックスだが、実はここまででお金が一応の目安を越えており、今回は断念した。
 

 
 靴をブリヂストンのGRID II に履き替え、ご満悦の328の様子。決してハイパフォーマンスタイアではないが、これで十分。但し、日ごろの足車の軽にも履かせているが、溝は十分でも性 能的につきるのは早めで、しかも減ったときの好ましくない方向への感触の変化は割と激しい。
 取り外したコニのダンパー。もちっと磨いて撮影すれば良かったと、撮影してから後悔。
 
 さてリフレッシュの結果だが……、実はかなり渋い。あんま変化がない(特に、10年落ちのタイアが新品になったというのに…… 爆)。
 
 やはり問題は、ずばりステリアリングギアボックスかもしれない。実はサスペンション関係のブッシュを総とっかえするよりは、かなり安い費用でステアリングギアボックスの修理・交換はできるらしいので、次回はこちらの交換となりそうである。
 
 
 
 
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